松井建築研究所                    
MATSUI ARCHITECTURE OFFICE                   


2.民家再生−耐震壁

内外共に耐震壁を新設した耐震補強

ほとんどの日本の古民家の外壁は、柱と建具で成り立っており、壁がとても少ない。内部も同様でさらに大きな梁が載っているにも関わらず、3〜4寸程の細い柱が支えている。地震問題がクローズアップされている現在、再生工事に当たり、耐震対策が必要である。
工事としては、現状の壁を取り新設する事になるので、建具など全てはずした建物には補強も必要で痛々しい外観になるが、建具を外すとほとんど何もないのが民家の状況であり驚かされる。

解体


大屋根と太い小屋組を支えている柱は細く、長い間には曲がってしまっているものも多い。外周、内部共に壁がとても少ない。

耐震壁


加工場で耐震壁の貫を取付けたフレームが作られ、現場に搬入される。

貫は長ホゾ抜きでクサビ止めとしている


頑丈でありながらも、ねばり強さがある日本の誇る伝統工法

耐震壁の取付


既存の柱と柱の間に耐震壁を取付けていく

耐震壁−頑丈でありながらも粘り強さがある


105角のフレームを組、同寸の大貫を長ホゾで継ぎ、既存の柱と柱の間に設置していく。

建物4隅の耐震壁


特に外周の角には必ずこの耐震壁を設置し、建物の4隅をがっちり固める。

耐震壁で固めた外周


土台から桁まで、しっかりと耐震壁のフレームを固定する。既存の弱くなった柱の補強ともなる。

北側の補強された基礎と耐震壁




4隅をしっかり耐震壁で固めた外観


4隅を耐震壁とすると建物全体の安定感が増す

再生前の内部


再生前の内部からの写真。周りはほとんど建具だけで、壁はない。地震対策として必要個所に耐震壁を入れていく。
太い差鴨居、天井裏の大きな小屋組の梁を支えるには、あまりに細い既存柱で、ホゾ穴などの欠損も大きい。

再生後の内部


特に外周の4隅には、しっかりとした耐震壁を設置する。それでも明るさは十分確保される。又細い既存独立柱は撤去し、新しい太い7寸角の柱に入れ替え、がっしりとした構造とする。新しい大きな空間も安定感があり、安心した落着いた生活ができる。